研究紹介
廣瀬研究室では,数理統計学をベースとした新たな統計解析手法の研究開発を行っています.また,機械学習で使われる手法の考え方も取り入れています.
最近取り組んでいる応用例として,以下が挙げられます.
- 植物の遺伝子データ解析を行うことにより,効率的なバイオエネルギーの探索を行う.
- 電力需要・発電量予測を行い,エネルギーマネジメントに役立てる.
- 欠損の多いアンケートデータを解析して,商品購買の有無を予測する.
- 街の住みやすさなどのアンケートデータ解析をして都市計画に役立てる.
上記のデータ解析を行うために,正則化法(とくにスパース推定)や高次元因子分析モデルなどの手法が使われます.
これまでの修士論文のタイトル:
- 2017年度
群の数が多いデータに対する線形判別 - 2019年度
一般化リッジ推定による回帰モデルの変数選択 - 2020年度
バリマックスの一般化による因子分析のスパース推定とその信頼空間
判別分析における精度向上のためのクラスタリングとクロスバリデーションの高速化 - 2021年度
ランダムでない⽋測を含む時系列データに対する統計モデリング
多変量線形ガウス状態空間モデルを使った当⽇予測の⾼速化とその性質
アンサンブルカルマンスムーザーによる降⽔量モデルの正則化測定法 - 2022年度
カタンのデータ収集と Joint Graphical Lasso による解析
欠測のある実データにおける階層ベイズモデリング
Biclustering Methods via Sparse Penalty
デマンドレスポンスによる電力消費量削減率のメタ分析 - 2023年度
欠損値を含む多変量時系列データの因子分析
説明変数・目的変数ともに欠測がある多変量重回帰モデルの欠測補完とスパース推定 - 2024年度
精確な推定を実現する glmnet の設定値選択
最近の論文の解説:
因子分析モデルにおける正則化法として,Prenet正則化と呼ばれる新たな手法を考えました.この正則化は因子回転で用いられるQuartimin回転の一般化となっています.また,正則化パラメータが大きいとき,変数クラスタリングに対応し,k-meansの一般化であることがわかりました.因子分析は,通常,社会科学に使われますが,提案法はクラスタリング手法として手書き文字データやfMRIデータにも適用することが可能で,k-meansよりも良い結果が得られることを示しました.